ホテル・旅館および観光地にとってのTikTokとは
日々、集客に向けて様々なマーケティング活動や取り組みをされていると思いますが、さらに自社サイト訪問者を増やしたり、求人応募者を増やしたりするためにさらに何ができるのでしょうか。本ブログでは、Z世代と言われる20〜30代の消費者のライフスタイルに深く浸透しているTikTok(ティック・トック)を活用することに、どのようなメリットがあるのかを考えたいと思います。
TikTokに対しては賛否両論がありますが、マーケティング担当者の立場からすると、TikTokはとても興味深いメディアです。TikTokは、ターゲットである消費者にリーチし、関わり持つために効果的に活用することができます。
宿泊施設や観光地がマーケティングにTikTokを活用し始めた理由とは
ホスピタリティ業は、「旅」という人が持つ冒険心や感情から湧き出る行動の大きな部分を担っています。このような人の感情に訴求をするためには、テレビの旅番組、旅行雑誌の記事やYouTube動画などが活用されていましたが、TikTokで公開されているショートムービーも同様なことができます。TikTokをマーケティング戦略の一つとして検討すべき4つの理由をご紹介します。
世界中の消費者にリーチできるメディア
TikTokの全世界でのユーザー数は、18億人以上になると言われており、これは全世界の人口の22%にあたり実に0歳から14歳の子供を除けば、その数は30%以上となります。TikTokは、14歳以上の世界人口の約3分の1にアクセスすることができるということになります。
1投稿あたりのエンゲージメント率が最も高いソーシャルメディアプラットフォーム
人々は、魅力的で、面白いショートムービー(短い尺の動画)を見るためにTikTokにアクセスします。TikTokは1投稿あたりのエンゲージメント率が高いため、一貫した動画を作成し、正しい方法で投稿をすれば、ブランド認知の向上につながる可能性があります(※SNSのエンゲージメント率とは)。
若者の共通言語
TikTokは若い世代、特にZ世代の共通言語にもなっており、世代を象徴するソーシャルメディアとしてのポジションを確立しています。
Z世代の87%がTikTokをお気に入りのソーシャルメディアプラットフォームであると述べています

デジタルネィティブであるZ世代は、幼少期からオンライン上のコンテンツに触れ、自らが面白いと思うソーシャルメディアを選択し、日常生活の中でコミュニケーションツールとして利用している世代です。また、また、Z世代は他の世代と比べると、より現実的で自立心のある世代とも言われています。そのため、TikTokは、主にユーザーが作成した、エンターテイメント性の高い、短いビデオに凝縮されたリアル(現実的)なコンテンツは、この世代に最もよく響くのです。
旅先を選ぶための情報とインスピレーションを与えるムービーも増加傾向に
TikTokに投稿されるショートムービーは、エンターテイメント性の高いものだけではありません。旅行先の情報を得るために利用するユーザーも増えているのです。しかも、Z世代だけではなく、ミレニアル世代(30〜40代)も動画をよく見ています。

人気のあるハッシュタグの傾向を見ても、TikTokユーザーが旅行に興味があることが分かります。人気のあるハッシュタグの1つである「#outdoors」は、キャンプ、スキー、釣りなどに関するムービーから、風光明媚な観光名所や屋外での旅行体験のムービーに利用されています。
TikTokでホテルとデスティネーションをPRする3つの方法
未来の来館者となりうるウェブサイト訪問者または、一緒に働いてくれる可能性のある求職者に自社のアピールするためにはどうすれば良いのでしょうか。TikTokのマーケティング戦略で重視すべき3つのポイントをご紹介します。
ショートムービーでブランドと企業文化を伝える
人手不足は、ホスピタリティ業界にとって継続的な課題と言えます。TikTokがこの問題をすぐに解決することはできませんが、ムービーを見た人が一緒に働いてみたいと思うかもしれまえん。
TikTokでは、自社の文化やチームを反映したショートストーリー動画を作成することができます。動画を通して、厨房で働くスタッフの様子を紹介したり、目の前でカラフルなカクテルを作るバーテンダーを紹介することもできます。一緒に働くメンバーや職場環境やカルチャー(文化)を求職者にムービーを通して見てもらうことで、会社に興味を持ってもらうことができます。
下記のアコーグループのTikTokページをぜひチェックしてみてください。
日本でも採用担当者からTikTokは注目を集めており、『7割の人事がTikTok活用で「応募人数が増えた」と実感』という調査結果も出ています。
感動を伝える
あなたのホテルの売りは何でしょうか。素晴らしい眺望ですか、それとも自慢のフロントスタッフでしょうか。旅行者にとって魅力的でユニークな場所であるかを考え、これらの要素を短いショート動画にまとめ、TikTokページで紹介してみましょう。
下記のムービーはイタリアのトレンティーノ観光局が地域のランドマークを紹介している例となります。
人を巻き込む
TikTokの魅力は、すべての人を巻き込めることです。ほんの数人のフォロワーしかいないユーザーが、あっという間に有名なインフルエンサーになることもあり、誰にでもチャンスはあります。
ハッシュタグチャレンジを作成し、あなたが制作、投稿をしたムービーと同じようなムービーを投稿してもらえるよう投稿者となるTikToker(ティックトッカー)達を招待します。このようなチャレンジは、TikTokユーザーと関わり、潜在的な新規顧客を獲得するため手法の1つになっています。
ヒルトングループは、#HiltonForTheStayのハッシュタグを使用しています。このハッシュタグの閲覧数はどれく2022年11月現在、5200万ビューです。
TikTokでこのハッシュタグを検索すると、関連する検索結果も出てきます。その中には「ヒルトンで働く」というサジェストもあり、TikTokがエンターテインメント目的を超えたビジネス向けのソーシャルメディアに変わりつつあることも分かります。
スイス観光局は、ハッシュタグ#inlovewithswitzerlandを使用して、スイスのランドマークや伝統をアピールしています。このハッシュタグの再生回数は1億9200万回以上となっています。
取り組みを開始するにあたって
TikTokは、動画撮影を得意とするスタッフさえ言えれば、あまり労力を必要としないメデイアと思われがちですが、それは印象に過ぎません。成果を最大化するためには、事前に計画を立てることが重要です。
制作する動画の主な目的は何か、ブランディングをどのように反映させるのか、誰が全工程を担当するのか、そのために使える予算はどれくらいか、期待する成果は何か、などしっかりとした戦略を立てることが重要です。
公開前の少なくとも2週間前までに、数回分のコンテンツを準備し、ムービーのテーマなど一貫性を持たせることが非常に重要です。また、投稿のスケジュールサイクルを確立し、それを尊重する必要があります。
ぜひムービーを企画、制作し、投稿するまでの肯定を楽しんでください。TikTokでは、映像の品質よりもメッセージが重要です。スマホで撮影した自宅の裏庭の動画が、プロカメラマンが撮影した4KのHD動画よりも人気が出る可能性もあります。
最も重要なことは、本物(リアル)であること、そしてあなたの周りの人々やあなた自身の価値観を表現することです。あなたのホテル、旅館や観光地でTikTokやソーシャルメディア活用の成功事例などございましたら、ぜひお知らせください。
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