ホテル、旅館がネットプロモータースコア(NPS)を活用するために

本ブログでは、宿泊したゲストがリピーターとなり、あなたの施設を友人や知り合いなど周りの方に奨める可能性を測る指標、ネットプロモータースコア (NPS) について解説したいと思います。

ロイヤルティやリピート率を経営指標にされ、リピーターやファンの獲得に尽力をされているホテルや旅館様も増えてきていると思います。TrustYouのユーザー施設様からも、ゲストから「とても美味しかった、また利用します」、「素晴らしい滞在でした、また必ず帰ってきます」という言葉をいただくために、リピート率をあげることを目標としてスタッフの皆さんが適時判断し、行動することを推奨しているといお話を耳にしました。

下記、入門編ではありますが、ネットプローモータースコアについて説明いたします。

ネットプロモータースコア (NPS) とは?

ネットプロモータースコア(NPS) は、顧客ロイヤルティを測定し、顧客が企業やその製品やサービスを他の人に奨めるめる可能性を測る指標です。0から10のスケールを使いますが、ホテルの場合は「当ホテルを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか? 」という質問を設定し、ゲストからの回答(スコア)に基づいて、3つのカテゴリー、「推奨者」、「中立者」、「批判者」に分類します。

Net Promoter Score Explained Ja
NPS®は推奨者の割合(%)」から「批判者の割合(%)」を引く(−)ことで算出されます。スコアは-100から+100の範囲で、スコアが高いほど推奨される可能性が高いことを示します。

推奨者 (スコア 9-10): 滞在に満足していただいたゲストで、あなたのホテルを友人や知り合いに奨めてくれたり、施設に対して肯定的なクチコミやレビューを投稿してくれたりする可能性が高いです。

中立者 (スコア 7-8): 滞在体験におおむね満足していますが、積極的にホテルを周りの人に奨めてはくれないかも知れません。ただし、批判的なクチコミやレビューを投稿する可能性は少ないです。

批判者 (スコア 0-6): 滞在に不満のあるゲストで、批判的なクチコミやレビューを投稿する可能性が高いです。批判者の懸念や感情を把握し対処することは、悪影響を軽減するために不可欠といえます。

ホテルや旅館でも活用ができるのか?

ネットプロモータースコア(NPS) は、企業の業績との相関性も認められており、“顧客ロイヤルティがビジネス成長の強力な原動力となる”という信念に基づき活用されている経営指標です。 ホテルにおいても、推奨者をより多く獲得し、批判者の数を最小限に抑えることで、肯定的なクチコミを増やし、顧客満足度やロイヤルティを高めていきたいという思いは、他業界の企業と同様といえます。

また、ネットプロモータースコアは、ゲストのニーズを知るためのレビュー(評価)としても重要なデータといえます。ゲストのニーズを理解し、改善すべき点を特定し、顧客体験を向上させるための意思決定にも役立つデータといえるでしょう。また、顧客ロイヤルティを測定するための指標となり、長期的なベンチマーク指標として活用することができます。

実際に宿泊施設で導入するには?

ホテルでネットプロモーターサウコアを導入するには、お客様の感情や体験を正確に表すデータを収集するための効果的な戦略が必要です。TrustYouを利用すれば、宿泊後のアンケートでNPSの質問を設定することができます。

TrustYouを使いNPSデータを収集する

TrustYou Survey(滞在後オンラインアンケート): ゲストのチェックアウト後に依頼するオンラインアンケートにNPS®の質問をアンケートに組み込んで送信することで、ゲストは自身の滞在経験を振り返ることができます。この回答を得ることによって、施設サイドはのサービスや設備を含め、ゲストの施設に対する印象や顧客満足度を把握することができます。

Nps Trustyou Survey Ja
TrustYou Survey(滞在後オンライアンケート)に質問の一つとして追加できるNPSのスケール

調査方法とタッチポイント(どこで、どのタイミングでアンケートを取るか)を慎重に選択することで、ゲストの滞在体験や感想を正確に反映したデータを得ることができます。(NPS調査を実施する場合も、一般的なアンケート調査と同様に400名以上の回答者(サンプルサイズはn≧400)を得ることが理想です。)

NPSデータを理解する

アンケートでデータを収集した後は、次のステップとして回答者を、 推奨者、中立者、批判者に分類(セグメント)します。この分類から顧客の感情(センチメント)の分布と、ビジネスの成長に影響を与えうる問題を把握することができます。さらに、分類された回答者についてさらに分析、理解することにより、推奨者の育成、中立者の懸念事項の把握、批判者の問題解決といったアクションに取り組むことができます。

ここでは、NPS調査の結果を分析する際に考慮すべき点をいくつかご紹介します。

  • 定期的にスコアをモニタリングする

NPSスコアの推移や、回答者のセグメントの割合を定期的にモニタリングすることで、ゲストの感情(センチメント)の変化を確認し、問題の特定につなげます。スコアから顧客満足度に何が影響与えている要素は何なのかを把握することがポイントです。

A Breakdown Of Promoters Passives And Detractors As Well As Your Nps Within A Selected Timeframe In The Trustyou Platform
TrustYouを使えば、選択した期間中における推奨者、中立者、批判者の割合とNPSスコアを確認することができます
  • 調査の一貫性を確立する

宿泊ゲスト全体の顧客ロイヤルティがデータとして反映されるように、一貫した調査方法を確立することがポイントです。同じ質問と評価基準を設けることで、データ収集の一貫性が確保され、長期間渡る運用とデータ比較が可能となります。

ただし、特定の客層を過剰に調査することは避け、推奨者、中立者、批判者、全ての回答者が入るようにすることに留意します。また、データの整合性を確保するために、重複回答や不正のチェックや、データ入力方法をはじめとした回答の収集プロセスも定期的にチェックすることをお勧めします。

  • スタッフやチームの業績評価にNPSを含める

社内で顧客ロイヤルティや顧客満足度に関連する指標を従業員の評価に含めることで、社内で顧客ロイヤリティを高めるための文化を醸成することにつなげます。もちろん、従業員の教育や自主性も必要となりますが、優れた顧客体験を提供する重要性が社内でも共有され、従業員がリピーターの醸成に積極的に貢献するような企業文化を目指します。

明確な達成可能な指標や目標があるとスタッフのモチベーションは上がります。もちろん、経営陣や上長からの的確なアドバイスや導きにより、スタッフが自身の強みや改善点を把握し、より良い顧客サービスを提供できるよう成長を促進することが重要です。

従業員満足度(ES)を優先するこで、優れた顧客体験を生み出すことが可能となります。

NPSスコアの向上を目指すために

NPSスコアの向上を目指すには、”長期的な対策”と、”短期的な対策”の両方を分けて考えることをお勧めします。

短期的な対応と取り組み

  • 現場で問題を解決する

 ゲストの滞在中に指摘した問題で、その問題を現場で解決できることがであれば、ゲストの批判的な感情を和らげ、批判者を推奨者に変えることができます。スタッフが現場で考え、行動することで、ゲストは施設やスタッフを高く評価します。

  • クチコミに対応、返信する

クチコミ投稿者が、推奨者、中立者、批判者のいずれであっても、クチコミやレビューにはなるべく返信コメントを送ることをお勧めしています。ゲストの声に応えることで、ゲストの意見を大切にしているホテル、旅館でことを周りに示し、ゲストの再訪の可能性を高めることができます。

長期的な対応と取り組み

  • ゲストに働きかける

推奨者、中立者、批判者をセグメントし、異なるEメールを配信してみる方法もあります。例えば、推奨者に感謝し、最新のリピーター様向けの割引やオファーなどの情報を定期的にお送りするEメールニュースレターの購読を依頼したり、 批判者には期待値にそぐわない体験された事に謝罪し、ホテルのマネージャーやカスタマーサービスといつでも連絡が取ることができるよう、アンケートの回答後にすぐにフォーローアップEメールを配信したりすることも有効かと思われます。

改善点を明確にする

TrustYou Analytics は、収集したクチコミを言語感情分析、スコア化し、ホテル・旅館の実務に合わせたカテゴリーに分類してしています。清潔感から持続可能性(SDGs)まで、150以上のカテゴリーを追跡することができます。批判者が特定している問題や、推奨者が称賛しているポイントなどをクチコミデータを深堀りして見ていくことができます。

  • 現実的で達成可能な目標を設定する

ホテル業界におけるNPSスコアのベンチマークを理解することで、比較のための基準値を設定することができます。 平均値を知ることで、業界標準に沿った現実的な目標を設定しやすくなります。外部で公表されているデータを見ると、ホテルにおける良いNPSスコアは +5〜15が平均的で、それ以上が良いという報告も見られました。日本の消費者は中間付近の評価を行う傾向が高いため、日本の消費者を対象にNPS調査はマイナスになることが多いと言われています。

また、2019年、2021年、2022年に全世界のTrustYouユーザーホテルで、NPSスコアを取集している施設の平均スコアの推移を確認しましたが、平均値よりもはるかに高い数字が出ていることに驚かされました。

Average Hotel Net Promoter Score Global 2019 2021 2022 2
2019年以降、平均スコアが徐々に上昇しており、TrustYou Surveyを活用しているホテルが、顧客体験やサービスの向上に注力していることがわかります※

もちろん、上記のような数値はTrustYou Survey(オンラインアンケート)を使い、NPSスコアを収集しているホテルのみのデータですので若干の偏りがあるかも知れません。ですので、NPS目標設定するためには国や地域での平均値を調べ、スコアの改善に必要なリソース(人材と予算)を確保できるかを含め、現実的な視点で目標設定をすることが必要になります。

  • スタッフを教育し、権限を与える

優れた顧客サービスを提供するために必要なスキルと知識を身につけるためのスタッフ向け研修や研修を定期的に実施することはお勧めです。接客においては、共感、傾聴、問題解決のテクニックがあり、スタッフが主体的に判断し、問題を解決できるように準備をすることが重要です。スタッフが自信を持って接客ができるようにし、モチベーションも高めていくことで、顧客体験を向上させることができます。

  • ゲストのインタラクションをパーソナライズする

パーソナライゼーションは、顧客満足度を高めるために重要な役割を担っています。 今後、ゲストの個人データベースを元に、ゲストに最適な提案をするシステムも出てくるでしょう。 ウェルカムノート、特別な日のお祝い、お部屋のアメニティの好みなど、このような配慮は、ゲストにとって思い出に残るパーソナルな体験となりリピーターとなってくださる可能性も高まるでしょう。


ネットプロモータースコア(NPS)は、ゲストがリピーターとなる可能性を測る指標ですが、顧客満足度(CS)を評価するためにも有効な指標です。NPSを他の指標と合わせて分析することで、全体像を把握し、施設が抱える問題の根本原因を特定し、解決に向けた施策を打つことができます。 改善に向けた良いサイクルを構築しすることで、リピーターやファンとなる顧客を増やし、ビジネスの健全な成長に向けて一歩前進することができるのです。

*2023年6月上旬にTrustYouユーザーのNPSスコアの平均点を抽出。 データについては、調査および抽出した時期によって、異なる場合があります。

TrustYouのデモおよびトライアル

コロナ禍における環境の変化に伴い、旅行者が旅行に求める価値も大きく変化しました。クチコミ管理業務の効率化、ホテル、旅館の品質管理や顧客満足度(CS)の向上に向けたTrustYouの活用方法について、さらにお知りになりたい方は、お気軽にお問い合わせください。

The Worlds Leading All In One Platform For Hospitality

Akira Takatsu

Akira is a Marketing Manager at TrustYou K.K. who handles PR and Marketing activities in TrustYou Japan. Over the past decade, he has used his expertise to contribute to the travel & hospitality industry.

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