アジア太平洋地域と日本のクチコミ数の回復とデータトレンド – 2023年第2四半期

本ブログでは、TrustYouのクチコミデータから、今年の第2四半期(4月〜6月)における日本を含むアジア太平洋地域(APAC)のクチコミトレンドを見ていきたいと思います。

2023年第2四半期のトレンド

#1 クチコミ数が増加傾向に

APAC(アジア太平洋地域)では旅行行動の回復も早いスピードで進んでいます。同地域内の宿泊施設のクチコミ数も、コロナ前の状態に近づいてきています。


2023年第2四半期、アジア太平洋地域のクチコミ数は2019年同期比で88.9%まで回復し、 2022年同期比で74.3%増となっています。


Apac Review Volume Evolution Q2 2019 2021 2023 3 Ja
2019年、2021年〜2023年 第2四半期 アジア太平洋地域クチコミ数の推移

2022年はまだ各国でコロナ関連の感染の規制があり、クチコミ数も回復していませんが、2023年に入り、各国での規制が緩和され、急激に旅行行動が増えていることが表れています。

#2 2023年第2四半期、ポジティブ(肯定的)なクチコミの割合が微増


アジア太平洋地域のクチコミの94%がポジティブです 


同地域では、クチコミ数が増えると共に、ポジティブなクチコミの割合も2023年第1四半期の93%から微増しています。 

#3 サービスに関するクチコミが好影響、WiFiに関するクチコミが悪影響を

2023年第2四半期、TrustYouのインパクトスコアを確認したところ、引き続き「ウェルネス」が第3位となっており、全体のクチコミスコアに好影響を与えていることが分かります。

一方で、悪影響を与えているクチコミカテゴリーを見ていると、「WiFi」が最も悪影響をおよぼすカテゴリーの第一位となっていて、「客室」が第二位になっています。客室には「バスルームの清潔さ」や「メンテナンス」といったサブカテゴリー含んでいて、悪影響をおよぼすカテゴリの上位に入ることが多いカテゴリです。ただし、マイナスの影響は弱まっており、同地域でもゲストの新型コロナウィルスへの懸念は弱まっていると思われます。

Ja Apac Impact Score 2023q2
アジア太平洋地域の2023年第2四半期におけるインパクトスコア、好影響および悪影響TOP3

2023年第2四半期、ゲストは宿泊施設のサービスや、オペレーションに着目して好評価をする傾向があったようです。また、同地域での旅行者は、比較的安価でウォーターパークなどのプール施設を持つホテルに好評価を残しており、スパや大浴場などのウェルネス関連施設のあるを持つ施設に施設に良い評価を残しているようです。

悪影響をおよぼすカテゴリにおいては、WiFiの接続速度や有料インターサービスの料金についてのクチコミなどが含まれています。また、客室については、アメニティや清潔さに関するクチコミが悪影響を与えていることが分かります。また、同地域のゲストはコストパフォーマンス重視で、食事の料金も気にすることも読み取りれます。

日本国内のクチコミトレンド

#1 クチコミ数は増加傾向にあり、ほぼコロナ前の水準に

2023年5月、日本への訪日外国人旅行者数は、2019年同月比で70%になりました。4月29日に空港でのワクチン証明などの規制はなくなり、シンガポール、米国、カナダからの入国者数は2019年の数字を超えている状況です。現在も韓国からのインバウンド旅行者が一番多く、中国からの訪日客の増加はこれからとなります。

宿泊施設のクチコミ数は、アジア太平洋地域と同様の増加傾向となり、2019年のコロナ前の水準にほぼ近くなり、順調に回復しています。


2023年第2四半期、日本のクチコミ数は2019年同期比で89.5%まで回復し、 2022年同期比で41.7%増となっています。


Japan Review Volume 2023q2
2019年、2021年〜2023年 第2四半期 日本国内のクチコミ数の推移

クチコミ数については、あともう少しでコロナ前のレベルに完全に戻る状況です。

#2 2023年第2四半期、ポジティブ(肯定的)なクチコミの割合が微増


日本のクチコミの95%がポジティブです


日本もアジア太平洋地域同様に、第1四半期に比べポジティブなクチコミの割合が微増し、95%となっています。人手不足や値上げなど、宿泊業界が様々な問題を抱える中でも、肯定的なクチコミの割合が増えていることは、業界にとってもポジティブに捉えて良いのではないかと思われます。

#3 サービスに関するクチコミが好影響、WiFiに関するものが悪影響を

アジア太平洋地域と同様に好影響を与えているクチコミカテゴリーの第一位は「サービス」、悪影響を与えているクチコミカテゴリーの第一位は「WiFi」となっています。日本特有なのは、好影響の第三位に「料理」が入っていることです。久しぶりにホテルでの食事を楽しむ日本人のゲストや、インバウンドのゲストが料理に関して好評価をしていることがうかがえます。なお、悪影響のTOP3にランクインしているカテゴリーはアジア太平洋地域と同様で、同じ傾向が見られます。

Ja Japan Impact Score 2023q2
日本の2023年第2四半期におけるインパクトスコア、好影響および悪影響TOP3

APAC(アジア太平洋地域)のトレンドについての総括

#1 中国人旅行者の新たなトレンド:消費により注意深く、コスト重視に?

労働節の連休では中国国内の旅行行動が活発になり、ロイター社の記事によると、4月28日から5月3日までの間、2億7400万件の旅行行動があり、2019年の同時期比で19%増となったとのことです。ただし、旅行関連消費は、2019年の0.7%増に止まっているというデータがあったそうです。

中国人旅行者が、旅行に積極的に旅行に出始めている中で、旅行についてコスト重視になっている傾向があります。それは若年層になるほど顕著のようです。#specialfocestravel(スペシャルフォーストラベル)は、中国のSNSで話題になりましたが、コストを抑えた新しい旅行(安い宿や、移動方法)についての投稿につけるハッシュタグです。

現在、中国では不動産危機により、若年層における失業率が高くなっていて、これは中国のアウトバウンド旅行に影を落としています。また、国際線の便数も2019年の40%に止まっていて、海外渡航を可能とするフライトが少ないということも影響しています。

Image
香港の旅行サイトGreater Goのインスタグラムアカウントで、旅行トレンドの#specialforcestravelについて解説されています

#2 バリの新たな観光ガイドライン

バリでは海外からの旅行者が、バリの観光地でやって良い事と駄目な事がわかるよう基本的ガイドラインを作り、チラシを空港で配布しています。

バリでは観光客の急増に伴い、条例違反をする観光客の強制送還も増えています。神聖な場所でのヌードまたはセミヌードの写真撮影をすることは、不法労働者と同様に同国では強制送還の対象となっています。

また、政府は観光客のスクーター利用における無免許運転や事故の多発から、観光客のスクーターレンタルの規制をする動きを始めています。また観光税の導入も検討されており、その税収は、環境保護や観光地の整備にあてられる予定です。

#3 タイおよびインド

タイのチェンマイでは、1月から4月にかけての大気汚染がひどく、住人は屋外での活動を控えたり、マスクを着用したりしています。それは、隣国での山火事やさとうきび畑の野焼きなどが原因であることが分かっています。2019年、タイのチェンマイは1億800万人の訪問者を記録していますが、大気汚染の問題により、ホテルの稼働率は平均で45%にまで落ち、その問題は観光業の未来に向けた問題となっています。タイ政府は、新たな二酸化炭素排出目標を設定し、観光客は夏のシーズンに訪問するように推奨しています。

また、世界から注目されているインドですが、2023年1月〜5月におけるインドからの旅行商品の検索が、2019年比で225 % と急増していることがAgoda社のデータからわかっています。また、アジア太平洋地域においては、ベトナムからの旅行検索も2019年比390%で急増しており、中国からの検索が増えることが期待されていますが、インド人観光客はその消費額も注目されており、2022年のデータではインド人旅行者の宿泊費用が2019年比で30%増となっていて、中国人旅行者よりも多い増え幅となっています。

APAC(アジア太平洋地域)はアウトバウンド、インバウンド共に今後も注目すべき旅行市場といえます。

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*2023年第2四半期のインパクトスコアは、同時期に最もホテルに影響を与えてる言語分析カテゴリーのTOP3を表示しています。

** 2023年第2四半期のインパクトスコアは2023年8月に抽出したデータです。ご紹介していているデータは抽出する時期によって変化する場合があります。

***レポート内で紹介している数値は四捨五入をしています。

Akira Takatsu

Akira is a Marketing Manager at TrustYou K.K. who handles PR and Marketing activities in TrustYou Japan. Over the past decade, he has used his expertise to contribute to the travel & hospitality industry.

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