2023年第1四半期、日本国内のクチコミ数の回復とデータトレンド

TrustYouでは、「クチコミデータから読みとる旅行行動の変化」と題して、宿泊ゲストの声であるクチコミ、レビューを定量化したデータから回復を目指す旅行業界に有益と思われるデータを公開する取り組みをしています。本ブログでは、2023年第1四半期(1月〜3月)における日本国内の宿泊施設に関するクチコミ数の回復と、旅行・ホスピタリティ業界のトレンドをTrustYouと他社のデータを交えて、見ていきたいと思います。

#1. クチコミ数が増加、回復傾向に


2023年第1四半期は、2019年同期比で88.2%まで回復、2022年同期比では66.7%の増加となっています。


2022年第1四半期の日本国内の宿泊施設に関するクチコミ数(件数)は2019年同期比の52.9%でしたが、下記のグラフの通り2023年は大幅に増加し、88.2%まで回復しています。このペースでの増加傾向が続けば、2023年度はコロナ前の2019年度の数値にかなり近づくことを予想されます。

Review Volume Q1 2023
2019年、2021年〜2023年 第1四半期 のクチコミ数(件)の同期比

2019年のクチコミ数のレベルに近づくためには、訪日旅行者の増加と、人手不足が続く宿泊施設の受け入れ体制が整うことが必要となります。スカイスキャナー社のレポートによると、日本はEMEA(欧州、中東、アフリカ)、AMER(北米、中米、南米)、APAC(アジア太平洋)など世界の地域から、“訪れてみたい観光地”として検索されており、その検索数が増加しているとのことです。このようなデータを加味すると、今後インバウンド旅行者の増加には、伸びしろがあると思われます。

#2. 肯定的なクチコミが圧倒的に多い


日本国内の宿泊施設のクチコミの94%が肯定的です


 TrustYouのデータによると、2022年度に引き続き、2023年第1四半期も日本の宿泊施設に関するクチコミ投稿の94%が肯定的(ポジティブな)クチコミでした。それは、人手不足の中でも高いサービスと品質を保持している日本国内の宿泊施設の方々の努力のたまものといえます。では、実際にどのようなカテゴリのクチコミが好影響を与えているのか、下記でTrustYouのインパクトを見ていきたいと思います。

#3.  どのようなクチコミが全体のクチコミスコアに影響与えているのか?

TrustYouのクチコミ指標で、ゲストのクチコミ内容がどのようにホテル全体のクチコミスコアに影響を与えるかを明確にするインパクトスコアを見てみましょう。下記、2023年第1四半期は、「ホテル」「サービス」に関するクチコミが日本の宿泊施設全体のクチコミスコアに好影響を与えており、「WiFi」「料金」に関するクチコミが日本の宿泊施設のクチコミスコアに悪影響を与えていることが分かりました。

2022年度のインパクトスコアTOP3とは若干異なっており、「料理」が好影響の第三位にランクインしたのと、「Wifi」が悪影響の第一位にランクインしています。

Ja Impact Score Q1 2023
2023年第1四半期、日本国内のホテルのクチコミスコアに最も影響を与えているクチコミカテゴリのTOP3

まず、悪影響を与えているカテゴリの第一位が「WiFi」となっている点ですが、これはリモートワークの普及等で、宿泊施設のWiFi環境に高いクオリティを求める旅行者が増えていることが分かります。喫茶店や空港などの公共の場における無料WiFiのクオリティやスピードも以前より格段に良くなっており、宿泊施設におけるWiFi環境への期待値もコロナ前よりも高くなっていると思われます。

「料金」については引き続き、原油などのエネルギー高騰などによる物価上昇の影響でサービス業界では値上げの傾向が続いており、宿泊業界も同様です。一方で、日本では人々の賃金が上がらず、現場の宿泊料金に満足できないゲストも多く、ここは日本国内の経済状況を顕著に表しているといえます。

「客室」が第三位にランクインしていることについては、引き続き、ゲストが客室の清潔さを重要視していることが分かります。

一方で、好影響を与えているカテゴリの第一位が「ホテル」となっており、コロナ禍を経て久しぶりにホテルに宿泊したゲストの宿泊体験がとても良かったことを表しています。第二位のカテゴリの「サービス」も同様で、ゲストが宿泊したホテル、旅館のサービスに対して、とても良いコメントを多く残していることが分かります。

また、「料理」が三位にランクインしていることについては、ゲストが久しぶりの朝食や宴会等で食事やそのクオリティにとても満足していることが分かります。


ここからは、他社のデータを交えながら、トレンドを見ていきます。

#4. 日本は世界およびアジアの旅行者からも注目されている

スカイスキャナー社は、2023年第1四半期における、世界の各地域(EMEA、AMER、APAC)の消費者がどこの国を旅行先として検索しているか、その検索数の伸び率をレポートとして公開しています。下記、APAC(アジア太平洋)地域のレポートでは、アジアの旅行者が比較的近場であるアジアの観光地を頻繁に検索していることが分かりました。下記のAPAC地域の旅行者による検索数の伸び率(前年同期比)のランキングでは、日本が台湾、ラオスに続き第三位となっています。

Sky Scanner Japanese 1
台湾、ラオスに続き、日本が最も高い検索数の伸びを記録しています。“どこにでも(Everywhere)”は、世界中のデスティネーションが含まれます

また、同レポートによると、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)、AMER(北米、中米、南米)でも日本の検索率は伸びており、両地域で第二位となっています。

#5. 中国の旅行者の動向

観光庁が2023年5月31日発表した宿泊旅行統計調査によると、外国人の日本国内での宿泊は1038万人泊となり、2019年同月比で8%減まで回復したとこのとです。2019年の訪日外国人数の国別総数(年計)でと第一位(9,594,300)であった中国本土からの訪日旅行者が増えれば、2019年のレベルを超えると思われます。

しかし、中国の現状はどうなのでしょうか。2022年末のゼロコロナ政策の解除により、中国国内でも旅行行動の回復が見られ、中国文化観光省によると、2023年第1四半期の国内旅行は前年同期比で46.5%増加したと報告されています。

中国のアウトバウンド旅行は、徐々に回復していくことが予想されています。ただし、国内の不動産不況が経済に影響を及ぼしており、海外旅行への消費へのマイナス要素も存在します。また、長いロックダウンの結果、中国人の旅行行動も変化し、健康と安全が第一の関心事となっており、コロナ感染リスクも考慮し、旅行の計画を短期間で立てることを好む傾向があります。

Aerial View Panorama Cityscape Of Hong Kong
中国人旅行者の第一選択は「地元に行く」、次いで「近隣の国」。2023年に旅行したい渡航先では、1位が香港(20.7%)、2位がマカオ(11.4%)、3位がタイ(11.1%)、4位が日本(5.9%)となっています

ただし、消費者の海外旅行への意欲が徐々に高まり、トレンドに敏感な若い世代から海外に出ていくことが予想されます。Dragon Trail Internationalの調査によると、調査対象者の42%が2023年の7月から8月の間に、32%が9月末から10月初めの中秋節/国慶節の時期に海外旅行を計画しているとのことです。また、オックスフォード・エコノミクスの分析では、2023年、中国のアウトバウンド旅行は2019年のレベルの48%に達する可能性があると予測しています。旅行意欲はあるものの、中国のアウトバウンド旅行が復活するまでには若干時間がかかりそうです。

※全世界のレポートはこちらから(Google翻訳版)

クチコミを活用し、ゲストを笑顔に

滞在体験に満足したゲストは、滞在中により多くのサービスを利用してくださったり、リピーターとして戻ってきてくださったりもします。良いレピュテーション(評判)をクチコミで広めてくださる方もいらっしゃるでしょう。

TrustYouは、ホテル・旅館、観光地や旅行予約サイトなどホスピタリティ業界の皆様をクチコミデータでサポートしています。世界中のお客様の声に耳を傾け、対応、改善する機会を創出し、データを元にした品質管理や顧客満足度の向上、そして従業員やゲストの皆様が笑顔になり、皆が幸福(Happy)になるためのお手伝いをしています。

TrustYouのデモおよびトライアル

コロナ禍における環境の変化に伴い、旅行者が旅行に求める価値も大きく変化しました。クチコミ管理業務の効率化、ホテル、旅館の品質管理や顧客満足度(CS)の向上に向けたTrustYouの活用方法について、さらにお知りになりたい方は、お気軽にお問い合わせください。

The Worlds Leading All In One Platform For Hospitality

*2023年第1四半期のインパクトスコアは、同時期に最もホテルに影響を与えてる言語分析カテゴリーのTOP3を表示しています。

** 2023年第1四半期のインパクトスコアは2023年4月上旬に抽出したデータです。ご紹介していているデータは抽出する時期によって変化する場合があります。

***レポート内で紹介している数値は四捨五入をしています。

Akira Takatsu

Akira is a Marketing Manager at TrustYou K.K. who handles PR and Marketing activities in TrustYou Japan. Over the past decade, he has used his expertise to contribute to the travel & hospitality industry.

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