2023年、注目すべき4つの旅行トレンド
本ブログでは、世界の旅行者の嗜好やトレンドを見ていきながら、本格的な旅行の回復に向けてビジネスをどう進めるか、そのヒントについて考えていきたいと思います。
新たに2023年を迎えましたが、昨年は決して楽な1年ではありませんでした。旅行業界では、様々な制約と不確実性のある中で、新たな挑戦(チャレンジ)が始まったように感じられました。しかし、これまでと同様に、社会に変化が起これば、新たなビジネスチャンスやトレンドも生まれます。下記、TrustYouが考える、2023年に旅行業に影響を与えると思われる4つのトレンドをご紹介します。
旅行計画に影響を与えるNetflixなどの動画コンテンツ
テレビや映画は、これまでにも観る人に夢を与え、新しい情報を伝え続けてきました。昨今、Netflix(ネットフリックス)などの動画ストリーミングサービスやYoutubeなどの動画コンテンツが台頭していますが、映画やドラマなどの動画コンテンツは消費者に旅行のインスピレーションを与えて続けています。
エクスペディア社によると、10人中7人の旅行者が、映画やドラマなどの動画コンテンツで紹介された場所を見て、旅行先を検討しています。
そして、39%の消費者が、動画を見た後に目的地(デスティネーション)への旅行を予約しています。

世界中で最も視聴されている動画コンテンツのひとつであるドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」を例に挙げると、わずか5年の間にクロアチアに推定2億ドルの観光収入をもたらしたといいます。主な撮影地であるドブロヴニクでは、番組の象徴的なシーンにちなんだ「Walk of Shame(ウォーク・オブ・シェーム」ツアーを開催するなど、地元ではこの旅行トレンドをいち早くキャッチしています。
また、Vlog(Video Blog)は、熱心な旅行者を新しい場所や体験に導いています。多くの観光地では、著名ブロガーの力を借りて、各地の名所や伝統文化、食体験などを紹介しています。Visit Trinidad(トリニダード観光局)の協力の元に作成された人気のフードブロガー、マーク・ウィエンズのフードツアー動画は100万から200万回の視聴を記録しています。
旅行意欲があるがコストパフォーマンスを重要視
世界的な経済不安が世界の人々の生活に影響を与えていることは否めません。 物価の上昇に伴い、旅行者が旅行を計画する際、よりシビアに予算やコストを意識するようになりました。しかし、このことが旅行者の旅行意向には影響を与えてはいません。Booking.comの調査を見ても、旅行者の半数以上が休暇への投資を依然として最優先事項として考えていることが分かります。
2023年も旅行者はコストパフォーマンスに基づいて旅行の計画を立てることが明白です。10人中6人以上の旅行者が、割安となるシーズンや予約のタイミングを重視し、綿密な計画によって旅行の予算を抑えることを希望しています。また、53%がコストを抑えるためにオフシーズン内での旅行を検討しているとのことです。
Hotels.comのデータによると、宿泊施設を探す際、消費者は「手頃な価格で快適なステイ」を選択肢として探しており、1~3つ星ホテルの予約を検討する旅行者が増えているとのことです。
2023年、世界の旅行者の35%が1つ星から3つ星のホテルを予約する意向を示しています。
ヘイケーション(Haycations)とは?
ヘイケーションは、農村や山岳地域など地方にある隠れ家でのバケーションを意味しています。農村の納屋を改造したホテルやアグロツーリズムのアクティビティまで、ヘイケーションでは、多くの旅行者が求めている都会からの逃避、静寂、自然との一体感を提供します。

ヘイケーションは、観光客で過密な状態となっている観光地に代わる素晴らしい選択肢となりえます。旅行予約プラットフォームは、オーバーツーリズムを減少させ、持続可能な地域づくりに貢献するために、都心ではない地方に焦点を当てた検索アルゴリズムを継続的に設定しています。
例えば、Airbnbはサイト上で地方エリアをより目立たせるようにしました。2019年、ヨーロッパの上位10都市の宿泊施設が、ヨーロッパ地域の全宿泊予約の20%を占めていましたが、現在は14%に減少しています。一方、農村部の宿泊施設の予約は55%の増加を記録しています。
バーチャルトラベル(仮想旅行)の可能性
旅行をバーチャルなデジタルの世界で体験することに抵抗感のある方もまだ多いかもしれません。しかし、ホスピタリティ業界でメタバースの利用を考え始めるのには、今が絶好の機会かもしれません。メタバース空間では、評判の良いホテルの設備や客室などを旅行者がバーチャルに予約前に内覧することができます。それは、今後予約前の無料サービスのようなものとして活用できるかもしれません。
さらに、メタバース空間では予約後、空港からホテルまでの最適な移動方法も調べることができます。宿泊後も、ゲストが自身の体験を共有する場としての役割を果たすかもしれません。
観光地を見てみると、すでにバーチャルトラベルへの第一歩を踏み出しているところもあります。政府機関や観光プロモーション組織では、観光サービスの一部をバーチャルに複製し、情報の共有をすることで、観光地の知名度を高める方法として、メタバースに注目しています。
メタバースの活用を目指す政府の中では、環境問題という避けられない現実があるために検討している所もあります。南太平洋の9つの島からなるツバルでは、メタバースを通じてその文化と伝統を保存しようとしています。ツバルは今世紀末に水没する可能性が高く、現在、首都は満潮時に40%が浸水しています。
また、トレンドの先駆者としてメタバースに参入している都市もあります。例えば、ソウルは2022年9月、メタバース空間におけるサービスのテストと改善のために、限られたユーザーにバーチャル公共サービスセンターのベータ版を公開しました。
バーチャルツーリズムはまだ始まったばかりです。一部の先駆者たちが、技術的インフラが整備し、メタバースでの旅行を形づくる中で、一部の予算に余裕のある観光地やホテルにおけるトレンドに留まるのではないかとも考えられています。
その他にも多くのトレンドが旅行者と業界を変え続けています。 適切なデータがあれば、トレンドを先取りし、旅行者にユニークな体験を提供し、運営パフォーマンスを向上させることができます。
あなたのホテルや周辺の観光地ではいかがでしょうか。2023年に関連のありそうなトレンドについて考えてみるのも良いかもしれません。
※英語(原文)はこちらから