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新しい旅のスタイル、ワーケーション&ブレジャー:集客に向けた17のヒント

「ワーケーション」や「ブレジャー」といった旅行トレンドに注目するホテルやデスティネーションが増えています。

常に新たな発見を探し、旅行をする際には現地の文化に触れ、出張先での勤務時間や余暇も自身の成長ために最大限に活用しようとするビジネスパーソンが増えています。新たな旅行のスタイルともいえるビジネス(Business)とレジャー(Leisure)を融合させた造語であるブレジャー(Bleisure)ですが、その旅行スタイルを楽しむ旅行者は、比較的に時間やお金を自由に使える可処分所得の高い消費者層で、延泊などの予定変更や長期滞在をする傾向も高いといわれてます。このブレジャー旅行者にホテルやデスティネーション(観光地)を訴求するために、またこのトレンドを集客に活用するために17のヒントをお伝えします。

ブレジャー旅行のニーズに対応するために

コロナ禍の影響で始まった、リモートワーク、オンライン会議への移行、出張や宴会の減少といったビジネスパーソンの行動変容により、旅行、ホスピタリティ業界では様々な課題に直面しました。  さらにインフレや経済不安といった世界経済の見通しも、業界の先行きに影響を影響を与えています。 しかし、このような変化に対応しながらも、旅行業界はビジネスの回復に向けて動いています。 それと同時に、消費者にとってのリアルな旅行は究極の贅沢として認識されるようになり、旅行という行動は貴重なものになっています。 そのような状況下で、ブレジャーというトレンドは、人々が仕事でも旅行でも、人生を最大限に楽しみたいという欲求の現れともいえます。 

ブレジャーのような旅行者の関心やニーズに応えていく方法は無数にありますが、今回はこのトレンドについてご説明しながら、ブレジャー旅行者への対応を推進しているホテルとデスティネーションの事例をご紹介します。

ビジネスとレジャーの融合:ブレジャー旅行とは?

“Work Hard, Play Hard”(よく働き、よく遊べ) ということわざがあるように、優れたワークライフバランスを常に求めることが、ブレジャー旅行者の思考の中心にあるといえます。ブレジャーの始まりは、2000年代前半です。リモートワークやフレキシブルな勤務体系を取り入れる企業の増加により、出張の日程の前後に休暇を取り、滞在予定を延長し、レジャーを楽しむといった旅行スタイルが始まりです。

Woman with a laptop working on a beach
76% – 今後12ヶ月間にブレジャー旅行を予定しているビジネス旅行者の割合 (参照元:Traveler Value Index, Expedia Group)

ブレジャー旅行者は、ビジネスとレジャーを柔軟に組み合わせることができ、その両方に対応できるホテルや旅行先を探しているのが一般的です。レジャーにお金をかけることをいとわない富裕層であることも多く、旅行頻度が高く、滞在期間も長めのため、ホスピタリティ業界にもとっても貴重な客層といえます。

質の良いWiFi環境や会議室をはじめ、フィットネスジムやプールなどの設備に対しても常に最高のものを求めています。また、ブレジャー旅行者は、滞在中にその土地ならではの文化体験にも積極的です。デジタルノマドといわれるビジネスパーソンも多く、静かでプライベートな空間で仕事ができることや、 同じような考えを持つビジネスパーソンのコミュニティーでの交流や情報交換の機会なども重要視しています。

ブレジャー旅行者を呼び込むための秘訣

ホテルに取って、ブレジャー旅行者が増えれば、平日の客室稼働率を向上させることもできるかもしれません。しかし、このタイプのゲストに来館していただくためには、これまでのビジネス旅行者(出張者)とは異なるアプローチが必要です。 下記、ホテル、旅行会社、観光地(DMO)の事例からブレジャー旅行者に対応するための17のヒントを集めました。

ホテルへのヒント:ブレジャー旅行者に向けたアプローチ

#1 利便性を追求した柔軟なチェックイン/アウトのオプション

ブレジャー旅行者にとって最優先事項の1つは、自身のスケジュールを制御できる状態にすることです。フレキシブルなチェックイン/アウトの時間を提供し、 ゲストが好きな時間帯を選べるようにすると喜ばれるでしょう。 リアルおよびオンラインで行う会議のスケジュールは、チェックイン/アウトの時間との調整が必要なため、そこは重要なポイントとなり、ゲストの満足度に影響を与えます。

#2 快適なワークスペースを実現する、質の高いインターネット環境

ブレジャー旅行者は、ホテルの滞在中にも生産性を維持するために、客室または館内が自身のオフィススペースとなることが必要となります。 このようなニーズに応えるため、高速で信頼性の高いインターネット接続、快適なデスクと椅子、さらにコピー設備などを準備し、ホテルへの誘致を図ることができます。

#3 備品やレンタルサービスで生産性をサポートする

デジタルノマドにとって、仕事の効率性は非常に重要で、デスクワークに快適なデスクと椅子の設置は必須です。 コワーキングスペースを提供している場合は、モニター、ソケット、アダプターなどのレンタル備品を準備してください。 ケーブル類は整理し、コワーキングスペースの近くにはコーヒーや水を飲めるドリンクコーナーを設置すると良いでしょう。

#4: ジムやフィットネスとのパッケージでゲストを健康的に保つ

フィットネスや健康維持は多くのゲストにとって重要です。ジムやフィットネス施設の利用が可能となることで、ゲストも普段からの生活習慣を維持しつつ休暇も取ることができます。

#5: 地元食材をつかった食事体験の提供

ブレジャー旅行者は、滞在先での文化体験として地元の料理を楽しみたいという気持ちがあります。地元の食材を使ったお料理など、食事体験は彼らにとっても魅力的であり、滞在の付加価値となります。

#6 ビジネス旅行でも活用できるロイヤリティ・プログラム

ブレジャー旅行者に特典を付与するロイヤルティプログラムは、再訪率(リピート率)を高めることにつながります。

#7 マーケティングチャネルで「ブレジャーフレンドリー」な設備をアピールする

ウェブサイトやSNSなどのマーケティング用のチャネルで、ブレジャー旅行者に合わせた設備やアメニティをアピールすると良いでしょう。 ワークスペース、WiFi、会議室などの設備や、柔軟なチェックイン・チェックアウト時間などを画像とともに紹介してください。

#8 ゲストの声に耳を傾ける

滞在後にアンケートをゲストに送りできるだけ多くお情報を収集しましょう。顧客体験の向上に必要なデータを得るための質問設定も必要です。 ブレジャー旅行者にとって欠かせないカテゴリの 1 つ、 WiFi環境についての満足度を聞いてみましょう。TrustYouの最新データによると、WiFiはレビュースコアを低下させる要因の第1位となっています。安定した信頼性の高いインターネット接続が、ブレジャー旅行者のみならずすべてのゲストに不可欠であるといえます。

Sentiment Score Japanese 2022
2022年第4四半期に3000万件以上のクチコミを分析した結果、「WiFi」 に関するクチコミはホテルのレビュースコアを低下させる可能性が最も高い要因であることがわかりました。

デスティネーション(観光地)へのヒント

#1 多様なアクティビティを紹介する

アウトドア、文化イベントや観光名所のツアーなど、地域で提供できるレジャー・アクティビティを旅行を検討しているブレジャー旅行者に紹介します。

#2 地域が提供するユニークな文化体験の紹介

郷土料理、芸術、文化、歴史など、ユニークな文化体験を求めているブレジャー旅行者に紹介します。

#3 アクセス情報を分かりやすく発信

主要空港への近さや交通手段など、アクセスの良さを強調し、ブレジャー旅行者が旅行計画を立てやすいように情報発信することが重要です。

#4 多彩な宿泊オプションを提供

 ホテル、バケーションレンタル、サービスアパートメントなど、さまざまな宿泊オプションを提供することで、柔軟性と選択肢を求めるブレジャー旅行者に訴求することができます。

#5 ネットワークイベント、ブレジャー旅行者と地域コミュニティをつなぐ

ネットワーキングイベントを開催し、ブレジャー旅行者と地域の企業やビジネスパーソンをつなぎます。 旅行者とローカルビジネスをつなげることは地域にとっても有益ですが、旅行者のリピートにもつながる可能性があります。

#6 地元企業との連携により、思い出に残るブレジャー体験を提供

地元の企業と提携をし、食事、ツアー、アクティビティなどのパッケージや、ホテルからのエクスカージョンを提供するは、ブレジャー旅行者の旅行計画の短縮に貢献します。

#7 レジャーに適したロイヤルティプログラムでリピーターを増やす

観光局やDMOが提供しているロイヤリティプログラムはまだ少ないですが、ブレジャー旅行者のリピーターを増やすための強力なツールとなるはずです。

#8 持続可能な観光の実践を支援

環境に配慮した宿泊施設や、持続可能な観光業を推進している観光地は、持続可能な旅行を望むブリージャー旅行者に好まれます。

#9 観光地としてのパフォーマンスと競争力を測定する

訪問者の声を聞いてみましょう。ホテルに宿泊するお客様の声を理解することで、 デスティネーションにおいても適切なビジネスの意思決定が可能となります。クチコミデータからKPI(指標)を設定し、独自のセールスポイントや改善すべき点を特定することができます。 

ブレジャー旅行:ホテルとデスティネーションの実例

実際にブレジャー旅行のトレンドを取り入れているホテルやデスティネーションの例を見てみましょう。 業界をリードする企業が、どのように旅行者のニーズに応えているかを見ていきましょう。

ブレジャー旅行者に対応しているホテル

#1 アパートメント・バイ・マリオット・ボンボイ

Apartments By Marriott Bonvoy,Photo source: Apartment in Florence (@marriottbonvoy)
出典: Apartment in Florence (@marriottbonvoy)

マリオット・インターナショナル は、フレキシブルで広々とした長期滞在オプションを旅行者に提供しています。さらに、高まるブレジャー旅行の需要に応えるため、アパートメント・バイ・マリオット・ボンボイを発表しました。このブランドは、ホテルスタイルのアメニティを備えた自宅のようなくつろぎを提供し、ブレジャー旅行者のユニークなニーズに応えています。

#2 ヒルトン アルバカリビアンリゾート& カジノ

Hilton Aruba Caribbean Resort Casino,Photo source: Hilton Aruba Caribbean Resort (@hiltonaruba, @lifewithja)
出典: Hilton Aruba Caribbean Resort (@hiltonaruba, @lifewithja)

ヒルトン は、ゲストの休暇中もネットへの接続を維持し、各デバイス機器を充電することの重要さを知っています。 パワーパルパ(Power Palapa) というサービスは、屋外のビーチエリアにUSB充電ステーションを設置し、ノートパソコン用のサンシェード、冷却パッド、プライバシーカバーから、冷えたボトルウォーター、アロエジュースやココナッツウォーターが入ったパワーボウルを用意しています。波の音を楽しみながら、ビーチに仕事を持ち込みたいゲストに最適な場所です。

#3 フォーシーズンズホテルズ&リゾーツ

Four Seasons Hotels And Resorts, Photo source: Four Seasons Hotel Toronto (@fstoronto, @thisrenegadelove)
 出典: Four Seasons Hotel Toronto (@fstoronto, @thisrenegadelove)

フォーシーズンズホテルズ&リゾーツ は、そのラグジュアリーな宿泊施設として知られていますが、その施設は ブレジャー旅行にも対応しています

フォーシーズンズ は、旅行者が旅を楽しみながら生産性を維持することを容易にするサービスとアメニティを提供しています。フォーシーズンズは、人間工学に基づいたワークスペースを備えた広々とした客室から、高速無線LANや印刷サービスまで、ビジネス旅行者が仕事をするために必要なすべてを備えています。コワーキングスペースを提供しているホテルも多く、旅行者は同じ考えを持つ人々とネットワークやコラボレーションをすることも可能となっています。旅行者が期待する快適性、利便性、豪華さを備え、仕事と余暇を最大限に活用するために必要なサービスやアメニティを提供しています。

ブレジャー旅行に対応している都市

#1 バルセロナ

Barcelona Park Guell
観光地として人気の高いバルセロナでは、より多くのブレジャー旅行者を誘致するため、「ワーケーション プログラム」を開始してます。

観光地として人気の高いバルセロナでは、より多くのブレジャー旅行者を誘致するため、「ワーケーション プログラム」を開始しました。

活気ある都市 の一つであるバルセロナは、豊かな歴史があるだけでなく、ワーキングスペースとして最適なWiFiを備えたカフェが集中し、世界クラスの料理や、旅行者を魅了する様々なレジャーアクティビティがあります。多様な文化とコミュニティーとして魅力は、ブレジャー旅行のトップ・デスティネーションとなっています。

バルセロナ ワーケーションプログラム(Workation program)は、バルセロナ観光局(Turisme de Barcelona)とバルセロナ郡評議会(Barcelona Provincial Council)がデジタルノマド、フリーランサー、デジタルプロフェッショナルを誘致することを目的に立ち上げました。このプログラムでは、ビジネスパーソンがバルセロナで働き、まるで地元の人のように生活できるよう、宿泊施設や文化・レジャー・アクティビティの特別割引を提供しています。バルセロナ・カード・ワーケーション(Barcelona Card Workation)は、美術館やアトラクションの割引や無料入場などの特典を提供。さらにバルセロナ周辺にはビーチ、漁村、ブドウ園、山々があり、文化遺産、グルメ、温泉施設など、さまざまな体験が可能です。

DMOでも、ビジネス旅行に適したサービスを提供することで、都市や地域をブレジャー旅行者に取っての旅行先の選択肢とし、さらに地域経済を活性化させることができるのです。

#2 バリ島

The Island Of Bali
バリはデジタルノマドやブレジャー旅行者に人気のデスティネーションです

バリ島は、デジタルノマドのコミュニティがあることでも知られる、ブレジャー旅行者に最適な旅行先です。

元々、観光産業が盛んなバリは、ブレジャー旅行者にとって理想的なロケーションといえます。 エコノミーな宿から高級なラグジュアリーリゾートまで、さまざまな宿泊施設があります。バリ島は、デジタルノマドには欠かせないインターネット環境をはじめ、インフラが充実しています。料理、文化、アウトドアなど、バリ島はビジネスとレジャーを楽しみたい旅行者にぴったりの場所です。

ウブドモンキーフォレストサーフスクール、ウブドフードフェスティバルなど、魅力的なアクティビティやイベントが開催されています。

#3 東京

Tokyo Is A Best Practice Destination For Bleisure Travel Due To Its Efficient Transportation System
東京はその便利な公共交通システムにより、旅行者が周辺地域を散策しやすいため、ブレジャー旅行に適した都市として注目を集めています

日本の首都、東京は豊かな文化遺産を持つ安全で快適な都市で、訪問者が地元の文化や伝統に触れる機会が豊富にあります。東京観光財団は、東京をビジネス旅行やイベント(MICE) に適したデスティネーションとしてプロモーションすることであり、ビジネス旅行者に取って最適なホテル、レストラン、会議の会場を見つけるための多くのオプションを情報発信しています。東京では、ビジネス旅行者に取って幅広い選択肢があります。外国語のメニューがあるレストランのリストや、東京のボランティアガイドによるツアーガイドの情報などを提供していて、ブレジャー旅行者に最高の体験を提供することをミッションとしています。


ビジネスとレジャーを両立させるビジネスパーソンが増えています。76%のビジネスパーソンが、来年は旅行中に何らかのレジャーを計画しています。 このユニークな顧客層は、フレキシブルなチェックイン/チェックアウト、高速WiFi、快適なワークスペース、そして仕事の後に楽しめる地元のさまざまなアトラクションを探しています。 このような新しい、ユニークな旅行者のニーズに実際に対応することで、ホテルやデスティネーションはより多くの集客につなげることができるのではないでしょうか。

※英語原文:Bleisure Travel for Hotels and Destinations: 17 Expert Tips to Keep Your Guests Coming Back