2019年に実施されたウェビナー(ネット配信形式のオンラインセミナー)では、新しい情報や調査結果が数多く紹介されました。中でも、TrustYou(トラスト・ユー)が参加したウェビナー、「Battle of the Brands:Guest Reviews is Stealing the Show(競合するブランド:ゲストレビューが主役に)」では、多くの示唆に富んだ調査結果が紹介されました。その中から記憶に留めておきたい3つのポイントをご紹介します。 こちらから当日ウェビナーの録画や資料(英語)を閲覧できます。
ブランドよりも重要視される宿泊客の評価(レビュー/クチコミ)
ホテル・旅館を予約する旅行者にとって、宿泊料金は予約の意思決定に最も大きな影響を与える要素です。 一方、ホテルにとっても、料金/ADR(平均客室単価)は最も重要な経営指標ですので、ADRを上げていきながら、競合ホテルに対して優位に立つ方法を模索しなければなりません。
過去に実施したTrustYou(トラスト・ユー)の調査はもちろん、Expediaグループが実施した調査でも、ホテル・旅館を予約する際に決め手となる要素は、”宿泊客からの評価”で、次に”ホテルのブランド”が続くという結果が示されました。また、Expediaグループは、”宿泊客の評価”と”ホテルのブランド”という2つの要素を比べた場合、旅行者がブランドよりも評価(レビュー/クチコミ)を重視する可能性は72%あると結論づけました。
ホテル・旅館を予約する際の判断基準には、クチコミやブランド以外にもホテルの星(格付け)、客室の写真、あるいは施設のキャッチコピーや説明文章など様々な要素があります。しかし、いずれも予約に対する意思決定にはそれほど大きな影響は与えていません。つまり、お客様からの評価(レビュー/クチコミ)が、宿泊料金に影響を与える最大の要素であるといえます。
施設の評価を上げ、ADR向上へ
旅行者が支払ってもいいと思う料金に対して、レビュー/クチコミがどれほど好影響または悪影響を及ぼしているかについての相関関係もより明らかになりました。
下記の表は、宿泊客の評価スコアと料金の関係性を示したものです。以前投稿したブログでもその結果をご覧いただけます。
評価スコア | 2.9 | 3.4 | 3.9 | 4.4 | 4.9 |
料金 | -45% | -25% | -7% | +26% | +38% |
さらに、Expediaグループの調査員によると、「宿泊客の評価スコアを3.4 から3.9に改善した場合、ADRを24%上げることが可能で、3.9から4.4に改善した場合、ADRを35%上げることが可能となる」と結論づけています。つまり、この調査結果からも、ホテル・旅館はそのブランド価値を上げるよりも、評価スコアを0.5ポイント高くすることの方が、ADRに与えるインパクトははるかに大きいということが分かります。
独立系ホテルは大手ホテルチェーンと競合できる
施設の評価スコアを高めることは、独立系ホテルにとってもADR向上に向けた有効な手段です。ホテルのブランド力には様々な利点がありますが、宿泊客からの評価はそのブランド力をさらに強めたり、ブランド力以上の好影響をもたらすことがあります。Expediaグループの調査員は、「これは、ホテル経営者が価格戦略をはじめ施設の品質やオペレーションの向上などを目指す際に活用できるポイントである」と述べています。
ホテルのADRを含めすべての条件が同じであると仮定した場合、独立系ホテルは、宿泊客からの評価や評判を大いに上げることで、ブランド力のあるチェーンホテルに対抗できるのです。つまり、独立系ホテルにとって、競合するホテルよりも、宿泊予約の決め手となる評価スコアが高くなるように投資することを優先事項ととらえ、それこそがチェーンホテルに対抗する方法であると考えることができます。
ここで紹介した3つのポイントは、ウェビナー 「Battle of the Brands(競合するブランド)」で説明した内容の一部です。まだウェビナー(英語)をご覧になっていない皆様はぜひこちらからご覧になってください。