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クチコミ投稿の心理学

かつて古代ローマ時代の剣闘士の闘いでは、敗者を生しておくか否かは観衆が親指を上に向けるか下に向けるかで決められていたといいます。これも評価(レビュー)のひとつと言えるでしょうか。古(いにしえ)より、フィードバック(クチコミ)は世の中で必要とされてきましたが、現代ではオンライン上のクチコミを参考にすることが当たり前となってきています。例えば、それは家電製品を購入する時であったり、レストランやホテルを予約する時などですが、なぜ消費者はクチコミに左右されるのでしょうか? そして、どのような心理的プロセスが私たちの意思決定に影響を与えているのでしょうか? オンライン上にクチコミを投稿する消費者の心理を読み解くことで、クチコミの重要性をより深く理解できるのではないかと考察してみました。

選択肢が多ければ多いほど、意思決定に困るという現実

私たちの祖父母に、若い頃はどのようなテレビ番組を日常的にみていたか尋ねたとします。かつてテレビチャンネルは2、3局しかなかったので、おそらく祖父母はどの番組を見ていたか比較的簡単に答えることができるかもしれません。しかし現在、テレビ番組の選択肢は無限にあって、どこの地域であっても様々なジャンルのコンテンツをオンデマンドで見ることができます。今日はどのシャツを着ようか、今晩はどこで食事をしようか、どのホテルに宿泊しようか。私たちは日々、何かを選び、決断をしなくてはなりません。多様性の中にあり、多くの選択肢が提示されるなかで、常に何を選ぶのかを問われているのです。まさにこの点において、クチコミやレビューは重要な役割を果たし、宿泊施設の潜在的な魅力や品質に光を当ててくれます。

“消費者は良い体験をした際、その素晴らしいサービスや商品を誰かに紹介したい気持ちになります。”

消費者は、クチコミ投稿の重要性とその影響力を認識しており、これから購入しようとしている人の手助けをしたいとも思っています。オンライン上のクチコミが意思決定の一助になるのと同じように、自分の経験を共有することで将来的な買い手にアドバイスを与えたいと考えています。良い(ポジティブな)経験であれば、消費者はその素晴らしいサービスや商品をより多くの人に知ってもらい、そのビジネスの成功を手助けしたくなります。その一方で、悪い(ネガディブな)経験をしたなら、批判的なクチコミを投稿する可能性が高まります。それは、投稿するクチコミが今後の購入者への警告としてだけでなく、経営サイドからの説明や謝罪を求める抗議文にもなるからです。

人間は他人と関係を持ち、集団に属していることの必要性を感じ、常にそれに突き動かされている

「社会的証明(ソーシャルプルーフ)」は、“他人の意見あるいは行動は、自分に影響を与える”という考えに基づいています。この心理学的概念は、私たちは自分に似た人々に対して共感し、そうした人々のおすすめや意見を信頼し、同じ様に行動する傾向があるということを教えてくれます。クチコミは広告よりもより信頼できると思われることが多く、事実、ある調査によると、92%の人々は、広告よりもクチコミによるおすすめの方を信用するという結果が出ています。その理由はいたってシンプルで、クチコミは自分と同じ立場である消費者が書き、投稿したものであり、投稿者はまさに自分たちと同じ存在であると考えるからです。それは、追加調査によっても裏付けられていて、消費者の88%は、個人的なおすすめと同じくらいクチコミを信頼しているとのことです。

ビジネスのオーナーやマネージャーにお伝えしたいのは、お客様は肯定的(ポジティブ)と批判的(ネガティブ)の両方のクチコミ投稿を信頼するという調査結果です。「消費者の68%は、肯定的評価と批判的評価の両方のクチコミがある商品やサービス対してより高い信頼を寄せています。一方で、消費者の30%は、批判的(ネガティブ)な評価がまったくないものに対しては、やらせのクチコミまたは検閲されたものだろうという疑念を抱くという調査結果も示されています。」あなた自身が何かを購入する場合と関連付けて考えれば、恐らく納得がいくでしょう。例えば、書籍を購入しようとAmazonのサイトを見たとします。その書籍のAmazonでの平均スコアが4.5だったら、この評価はある意味正当と感じるでしょう。もし別の書籍のスコアが5.0の完璧なものであれば、本当にそんなに素晴らしい本なのだろうか、クチコミ投稿者の全員がこの本をとても気に入って5.0と評価したのだろうか、そんなこと現実にあり得るのだろうかと疑念を抱くことでしょう。こうなってしまうと、なんだか胡散臭い感じに受け取られる可能性も否定できません。

“オンライン上のクチコミに返信することは非常に重要で、施設サイドがお客様の滞在中の体験に関心があることを示すことになります。”

こうした事実から、ホテリエが学ぶべき点を挙げると

1. まず第1に、オンライン・レビュー(クチコミ)の重要性と影響力を正しく認識することが極めて重要です。施設のオンライン上の評価を最優先に考える必要があります。ある調査によると、消費者の88%がクチコミを読んでそのホテルのクオリティを判断しているという結果がでました。また、旅行者が宿泊を決定する要因として、クチコミや評価は、宿泊料金に次いで大きな要因となっています。なぜオンライン上のクチコミがこれほどまでに意思決定プロセスに重要な役割を果たしているのか、なぜホテリエはより多くの予約件数とお客様の高い満足度を得るため、オンライン上の評価を適切に管理する必要があるのか、ご理解いただけると思います。

2. もう一つ、心理学の観点からみてその重要性を理解したいのが、クチコミ投稿への返信です。調査によると、消費者の30%は、企業側が行うクチコミに対する返信を高く評価しています。別の調査では、お客様の苦情に対して返信しないと、そのビジネスを擁護するお客様の声が、半減する可能性が指摘されています。オンライン上のクチコミやお客様のクチコミに返信することは、ホテル・旅館の経営陣に情報を提供するだけでなく、将来宿泊してくれる可能性のあるお客様に対して宿泊予約を促すことにつながります。

ホテル・旅館の素晴らしい評価を保ち、さらに促進させるためにTrustYouのベスト・プラクティス・ガイドを参照されることをおすすめします。たとえ、ネガティブなクチコミであったとしても、正しくクチコミに対応し活用することで、良い結果につなげることができます。

意思決定と人間心理の関係を知り、対応することは、どの分野の事業主にとっても役立ちます。とりわけ、ホテルなどのホスピタリティ業界はきわめてパーソナルなコミュニケーションが肝となっているので、クチコミの心理学的側面に注目し、そこに働きかけることがビジネスにとっても有効かもしれません。