Expedia グループによる調査:「宿泊客の評価」 > 「ブランド価値」
ホテル・旅館にとってお客様からいただいたレビュー評価は、自社のブランドよりも大きな価値があると言えるでしょうか。最近のExpediaグループの調査によると、旅行者は、インターネット上の「評価スコアの高いホテルに対してより高い宿泊料金を払っても良い」という結果が出ています。これは、弊社が過去に実施した調査から導き出した「旅行者は同じ価格帯のホテルであれば、3.9倍以上の確率で評価スコアが高い方のホテルを予約する」を裏付けるものとなっています。
Expedia グループが実施した調査「重要な決断:旅行者がどのように滞在先を選択するのか(英語)」では、「宿泊客の評価」、「ブランド価値」、「料金」の相関性についての調査が実施されました。本調査の調査員は、ホテルのクチコミ評価がこれから予約を検討する旅行者が払ってもよいと思う料金に大きな影響を与えると述べています。また、価格の割増しについては良い結果だけでなく悪い結果をもたらすこともあり、評価スコアが高い場合でもADR (平均客室単価)を下げ、収益を損なってしまう可能性もあると指摘しています。
料金 vs ブランド価値
Expediaの調査からは、様々な結果が導き出されていますが、まずは料金とブランド価値に関する調査を見てみましょう。同調査では、調査用モデルとなる価格(Van Westendorp 価格感度法に基づく)を設定し、“ブランド”、“評価”、”アメニティ”の要素が異なる6ブランドのホテルを選び、設定しました。
マリオットのブランドCourtyard(コードヤード)を基準として、ホテルのブランドによって旅行者が支払っても良いと思う料金(許容する料金)を調査、結果を下記のようにまとめています。
ブランド | Knights Inn | Ruume* | Days Inn | Courtyard | Hilton | Four Seasons |
料金 | -27% | -21% | -18% | 基準 | +11% | +12% |
*独立系ホテルの一例(調査のため、架空の施設を設定)
宿泊客の評価 vs 料金
「宿泊客の評価」と「料金」の関係はクチコミ管理・分析のベースともいえます。 RevPAR (販売可能な客室1室あたりの売上)を引き上げることがホテルの最優先事項となりますが、そのためにはADR (平均客室単価)を上げなくてはなりません。
Expedia は、事後確率モデルを使用して一般的なホテル施設が持つ要素(属性)を調査項目に設定、ホテルを予約する旅行者にとって「宿泊客の評価」が「料金」に次いで最も重要な決定要素であると結論づけました。これはTrustYouがの実施した調査、オンライン上のホテル検索および予約をめぐる消費者動向においても裏付けられています。
また、旅行者がCourtyard Hotelに支払っても良いという料金を6つの評価スコア別に調査した結果、下記のような数字が出ています。
評価スコア | 2.9 | 3.4 | 3.9 | 4.4 | 4.9 |
料金 | -45% | -25% | -7% | +26% | +38% |
弊社の調査では、旅行者の 88% が評価スコアが 3 つ星以下のホテルを、32% が 4つ星以下のホテルを自動的に選択肢から除外すると言っています。これは、上記の料金設定にかかわらず、全旅行者の3分の1が評価スコアの高いホテルを探している、すなわち、料金が少々高めでも支払う用意があることを示しています。
ブランド価値 vs 宿泊客の評価 (TrustYou の視点)
宿泊客からの評価スコアが料金に次いで旅行者が予約をする上で最も重要な要素であることを踏まえ、TrustYouでは Expedia の調査結果を元に、下記の仮説モデルを作成しました。 ブランド価値 と 宿泊客の評価 が料金と相関性があると仮定し、各ホテルブランドに対して旅行者が支払っても良いと思う金額を6つの評価スコアごとに比較しました。
評価スコア | 4.9 | 4.4 | 3.9 | 3.4 | 2.9 |
Four Seasons | +50% | +38% | +5% | -13% | -37% |
Hilton | +49% | +37% | +4% | -14% | -38% |
Courtyard | +38% | +26% | -7% | -25% | -49% |
Days Inn | +20% | +8% | -25% | -43% | -67% |
Ruume* | +17% | +5% | -28% | -46% | -70% |
Knights Inn | +11% | -1% | -34% | -52% | -76% |
上記のモデルはあくまで仮説ですが、評価スコアが料金の設定に重要な要素となっており、またクチコミやレビューが旅行者が許容できる料金の設定にも影響することがお分かりいただけると思います。ブランド価値に基づいて宿泊料金を設定するのは計算が困難で他の要因よりもより静的であるのに対して、オンライン上のホテルのクチコミや評価スコアは価格に大きな影響を与えます。
まとめ:
Expedia の調査結果は、高い評価スコアがホテルの価格に一定の影響を与えることを裏付けています。この調査により、優先すべき事項は、より良い宿泊体験を提供し、評価スコアの上昇につなげることであることが分かります。宿泊客からの評価を上げること注力することで、独立系ホテルでもブランド力のあるチェーンホテルに対抗できるのです。高い満足度を達成し、良いクチコミを維持するために、弊社では4つのステップによるアプローチを推奨しています。
ステップ 1:現時点の自施設のクチコミを検証する
まず、TrustYou のクチコミ管理・分析プラットプラットフォームで無料トライアルを開始 し、お客様の声を聞いてみてください。弊社がまとめたクチコミの概要は、どのサイトよりも多い 220 以上のクチコミデータソースを元にまとめています。Googleマイビジネスのリスティング上の「クチコミ概要」にはTrustYouのデータが活用されています。
ステップ 2:競合他社にどう立ち向かうか
アカウントにアクセスしたら、まずは競合分析をおこないます。プラットフォームの競合インデックスで 6社まで競合ホテルを選択し、宿泊客が投稿したコメントを自動的に分析して算出した インパクトスコアを TrustYou のプラットフォーム上にてご覧になれます。これによりお客様のクチコミが好影響または悪影響に作用しているものかを判断することができます。
ステップ 3:クチコミをさらに収集して評価を高める
統計的に見て、収集するクチコミの件数が多いほど、宿泊客の評価は高くなります。オンラインアンケートでクチコミを収集して積極的な戦略をとることにより、施設の評価がよくなる可能性が高くなります。お客様に対して、オンサイトまたは宿泊後のアンケートでクチコミを依頼することで、より良いクチコミが得られる可能性が高くなります。
ステップ4: 貴施設の料金の再検証: 収益を生み出す
競合分析と向上した評価スコアから、どの位料金を上げられるかを判断します。上記の表を参考にし、貴施設をそれぞれのブランドに当てはめ、料金設定の戦略として試してみるのも良いかもしれません。お試し期間中であっても弊社の担当者からアドバイスをさせていただきます。 ユーザーの皆様が弊社のプラットフォームを最大限に活用できるよう弊社もレビュー評価をいただき、 絶え間ぬ努力を続けています。